世界の潮流になるトヨタのコストダウン戦略

東芝で働いていた時に、調達コスト(部品のコストダウン)が課題でした。
安く購入する調達では、次のようなことをやります。

  • 市販品を使ってオーダーメイドにしない
  • 既存品を大量発注してコストを下げる

これはカルロス・ゴーンが日産で行ったので有名な話です。

東芝時代にとある先輩が、液晶パネルの販売でAppleに供給していたとのことですが、非常にコストダウンの交渉が厳しいとのことでした。ちなみにAppleのクックCEOは調達部門の元責任者です。

目次

コストダウンが利益率アップに繋がる

日本のロケットも市販品を採用してコストダウンしている

東芝時代にJAXAで働いていた先輩から聞いた話で、ロケットの部品にも市販品を使うプロジェクトが動いているということでした。JAXAはNASAの日本版ですね。

なぜ市販品を使うのか?

次の視点でコストダウンが可能になるからです。

  • 大量購入で調達コストが下がる
  • 製品開発コストが不要になる

地方銀行のシステムも独自開発をせずにパッケージ商品が採用されている

銀行のシステムは、とても複雑です。預金情報や振り込みや入金や出金などセキュリティもありながら確実性が求められるからです。みずほ銀行で何度も大きなトラブルがありましたが、それは銀行のシステムがセキュリティやバックアップをしっかりしているからです。

  • 日本IBM
  • NTTデータ
  • 日本ユニシス
  • 富士通
  • 日立製作所

韓国人の元プログラマーの方と2005年に話をしたことがありますが、韓国の大手銀行では、メガバンクのシステムは共通化して、転職してもすぐにシステムを使いこなせるということでした。

一方で、日本のメガバンクのシステムは独特でメガバンクで、ガラパゴス化して、システムを理解して操作できるまでに時間がかかるという話でした。

トヨタのコストダウン戦略

トヨタは、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)という車体ベースのプラットフォームの共通化を図っています。

車種は違えども、車体ベースは同じです。トヨタとレクサスで販売されるものが実は同じ、プリウスもカローラも、ノアやボクシーも同じ車体ベースとは驚きですよね。

  • GA-Bプラットフォーム(ヤリス、アクア、シエンタ)
  • GA-Cプラットフォーム(プリウス、カローラ、ノア、ランディ、ヴォクシー)
  • GA-Fプラットフォーム(トヨタ・ランドクルーザー、レクサス LX)
  • GA-Kプラットフォーム(カムリ、クラウン、レクサス ES、ハリアー、レクサス NX)

トヨタのコストダウン戦略の全体像

トヨタの場合、主に制作する部品を3つに分けています。
プラットフォームは、エンジンやブレーキやハンドリングなど自動車を動かす機構で多額な開発費がかかります。プラットフォームを共通化することで、開発費を削減できて、さらに大量発注できることで、調達コストを下げることが可能です。

  • 共通プラットフォーム(車体ベース)
  • 用途別パッケージ(ボディーの形状)
  • 個別カスタマイズ(ボディーカラーや内装など)

トヨタのコストダウン戦略を自社にも応用する場合

共通プラットフォーム(車体のベース)

共通プラットフォームでは

  • 共通のプラットフォームを開発して大量生産する
  • 市販品のプラットフォームを使う
  • 無料または格安のプラットフォームを使う

でコストダウンできます。

ビジネスは相乗りです。使えるものは使っていきましょう。
この究極系がJV(ジョイントベンチャー)です。

共通のプラットフォームを開発して大量生産する

トヨタが行っているのがこの方法です。ただし、中小企業・中小零細企業などの開発費をかけられないスモール企業の場合は、「市販品のプラットフォーム」か「無料または格安のプラットフォーム」を使います。

大企業でも開発費をかけても回収できるのは稀です。

市販品のプラットフォームを使う

市販品を使うと独自で作るよりも圧倒的に安くすることができます。

無料または格安のプラットフォームを使う

無料や格安のプラットフォームを組み合わせても十分です。

②用途別パッケージ(ボディーの形状など)

共通プラットフォームを選択したら、次に用途別パッケージです。用途別パッケージは、デザインなどの外装の部分です。トヨタでは、ボディの形状などです。

③個別カスタマイズ(ボディーカラーや内装など)

個別カスタマイズは、顧客が選べる選択肢のことです。個別カスタマイズは、予め設定したメニューから選んでもらいます。もし選択肢にない場合は、特別料金を請求します。

新車購入の際も同じですが、販売店のメニューにない場合は、外の塗装店で色を変えたり、シートを変えたりする必要が出てきます。

事例

ネットショップを制作する場合

①共通プラットフォーム

一般的に独自でネットショップを作る場合には100万円〜3000万円かかります。
また独自制作した場合は、エンジニア費用として月額20〜30万円がかかってしまいます。
これを抑えるには、ネットショップのプラットフォームサービスである

  • Base
  • shopfiy
  • カラーミーショップ

など、既存のプラットフォームを使うことが安く出来ます。
料金には、決済機能などセキュリティなどの優秀なエンジニアのメンテナンスが含まれます。

②用途別パッケージ

ネットショップでのパッケージは、テンプレート選びなどです。ネットショップでは業種ごとにテンプレートは変わってきます。テンプレートを変える同じプラットフォームでも見た目の印象を大きく変えることができます。

③個別カスタマイズ

個別カスタマイズでは、バナーのデザインなどです。バナーのデザインを入れることで、そのお店のショップらしさが出てきます。

在庫管理システムを制作する場合

①共通プラットフォーム
一般的に在庫管理システムを組もうと独自開発を依頼すると数十万円〜数千万円がかかります。
また独自開発した場合は、エンジニア費用として月額20〜30万円がかかってしまいます。
これを抑えるには、無料のツールを使うことです。

  • エクセル
  • Googleスプレッドシート

おすすめは、普及している無料または格安のツールを使うことです。エクセルはVBAなどのプログラミングをすれば、自動化はできますし、Googleスプレッドシートは、アドオンなど拡張性が高いです。

②用途別パッケージ

在庫管理システムでのパッケージとは、Googleスプレッドシートのテンプレート選びのことです。

③個別カスタマイズ

在庫管理システムでの個別カスタマイズとは、その企業の要望に合わせたプログラミングのことです。プラットフォームやテンプレートで共通化されたものに対して、個別のオーダーメイド制を取り入れることで、問題を解決できます。

ホームページや会員サイトを制作する場合

①共通プラットフォーム
一般的にホームページを制作しようとすると、数十万円〜数百万円がかかります。
そこにホームページの更新費用を業者に依頼すると数十万円〜数百万円かかります。

ホームページや会員サイトもプラットフォームを使うことで安くすることができます。

  • WordPress

おすすめは、WordPressです。WordPressは、以前にWordやブログを操作したことがある人なら使いやすいです。短時間の教育で使えるようになりますし、Worpdressを仕事を使ったことがある人も増えてきました。

またWordPressにテーマ(テンプレート)をインストールするのですが、このテーマもプラットフォームに含まれます。

②用途別パッケージ

パッケージは、用途別のパッケージで、士業やコンサルタント向けホームページや会員ページなど、用途に合わせたパッケージを作っておくことで、スピードを早めることができます。

③個別カスタマイズ

個別カスタマイズでは、バナーのデザインなどです。バナーのデザインを入れることで、そのお店のショップらしさが出てきます。

目次